便利な倍数判定法!

突然ですが問題です。「1134951は素数ですか?」

 

 

いかがでしょうか。すぐに素数ではないと断言することはできましたか?

(1134951は3の倍数なので素数ではありません。)

どうすればこの一見素数のように見える数字を素数でないと断言できるのでしょうか?

実は便利な「倍数判定法」というものがいくつかあります。

2の倍数かどうかは「一の位の数が偶数かどうか」ということで判断できます。これは日常的に身に着けているかもしれませんね。

それでは3以上の倍数判定法をいくつか紹介します。

3の倍数:各桁の数の和が3の倍数

4の倍数:下2桁が4の倍数

5の倍数:一の位が0か5

6の倍数:2の倍数かつ3の倍数

などなどです。7以上に関してもあるので気になる人は調べてみてください。

さて、本当に以上の判定法は正しいのか……特に3の倍数の判定法は納得し辛いのではないでしょうか。

では、3の倍数判定法について証明していきましょう。

証明

3桁の数(Aと呼びましょう)について調べます。

a,b,cを0以上9以下の整数とします。

この時a,b,cを用いてAは

A=100a+10b+c とあらわすことができます。

これを少し変形していきます。

A=100a+10b+c
=(99+1)a+(9+1)b+c
=(99a+9b)+(a+b+c)
=3(33a+3b)+a+b+c

このように変形できました。3(33a+3b)の部分は33a+3bが整数であり、3の倍数なので当然3の倍数です。よって、Aが3の倍数であるかどうかはa+b+c(各桁の和)が3の倍数かどうか次第ということになります。たとえAが4桁以上になった場合も同じように証明が可能です。

整数問題を扱う際にもすごい威力を発揮する倍数判定法。ぜひとも身に着けてください。

コンピュータさん13は素数ですか?

ある時突然、「13は素数ですか?」と質問されたとします。きっと皆さんはすぐに「素数です」と答えることができるでしょう。

それは13が素数であるということを元から知っていたからかもしれませんし、13以下の素数「2,3,5,7,11」で13が割り切れないと瞬時に考えたからかもしれません。

では、コンピュータに「13は素数?」と質問してみたときのコンピュータの考え方を紹介します。

コンピュータは素数の定義のみを知っているとします。(2や3が素数ということは教えていません)

私達なら13以下の素数のみ割り算を行えば良いとわかりますが、そもそもコンピュータは13以下の素数が何なのか分かっていないのでそれは不可能です。

では、どういう動きになるのでしょうか?

それは、1から順に12まで割って行こうとします。

つまり……「13/1…13/2…13/3………13/12」というふうになります。

非効率的だと感じませんか?

ではここで2つアドバイスを上げましょう。もちろん「13以下の素数で割る」というのは不可能です。

与えるアドバイスは「13の平方根以下の自然数で順に割っていく」「2以上の自然数のみ考える。」の2つです。

少し複雑でしょうか?

具体的に考えてみましょう。13の平方根は3.6…..ですので、「13の平方根以下の自然数」とは「1,2,3」となります。

さらに、「2以上の自然数のみ」ということになるので、2つのアドバイスにあった数は「2,3」のみになります。

つまり、2つのアドバイスを与えることでコンピュータは「13/2…13/3」を計算するだけで素数判定を行うことができるようになるのです。

たった2つ変えただけなのにかなりの手間が省けましたね。

なぜ13以下の平方根以下の自然数でいいのか?という疑問が浮かんだ人はいませんか?

それは平方数をこすと同じ数が出てくるからです。具体例をあげます(素数では難しいので18を用います)

18(平方根は大体4.2です)を二つの数の積で表していくと……「1×18,2×9,3×6」となります。4以上の数を考えると、既に出たものの順番を入れ替えただけになります。だから平方根以下の自然数のみ考えればよいのです。

実は、今回考えた手順の簡略化(計算の効率化)というのが「アルゴリズム研究」の基本的なものです。

アルゴリズムとは大雑把に言ってしまえばコンピュータを動かすための命令文のようなものです。これをいかに簡単にするか、というのがアルゴリズム研究です。

ちょっと方法を変えるだけでかなり効率的に素数を判定する事ができるようになりましたね。素数判定以外にも「最短経路問題」など身近なところに効率化を求めるようなものが有ります。気がついたときに少しだけ考えてみてはいかがでしょうか。数学の知恵が日常生活に役に立ってることを感じることができるのではないでしょうか。

「勉強する意味はあるの?」

先日、生徒から「数学の勉強をして何になるのか。将来役に立たなくないか?」と言われてしまいました。

理系はまだ計算問題などで利用することがあるため絶対に無意味だと言う人はいないでしょうが、文系の人は試験以外で使うことは少ない為「数学の勉強は自分の将来のために必要じゃない」と言う人もいます。

もともと数学が嫌いでそう言っているのかもしれません。

数学の先生に同じことを質問すると「社会の~~で役に立っている」という例を上げてくれる先生もいらっしゃるかもしれません。社会で役に立っているから勉強しなくちゃいけない…。と言うのは腑に落ちませんね。

しかし、よくよく考えてみてください。

今の自分には確かに数学を利用した何かをすることはないにしても、何年、何十年先の自分はどうでしょうか。もしかしたら、何気ない場面で数学の知識が必要になるかもしれません。

将来、自分がどういうふうに転ぶかなんて分からないのです。

ただ授業時間を苦痛に思ってやり過ごすよりも、今しかできない勉強に力を入れてみてください。きっといつか身を助けます。

これは他の教科にも当てはまることです。

将来なんてわからないですし、授業は出なければいけません。そうならば、寝て過ごすなんて勿体無いことをせずに、真剣に先生の話に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

新しい発見があるかもしれませんよ。

なぜ1は素数じゃないのか。

生徒に「素数ってなにかわかる?」と聞いてみたところ、「1とか2とか3とか5とか!」という風に返されてしまいました。

確かに2,3,5は素数です。ただし、1は素数に含まれないのです。

「28を素因数分解してごらん」というと「2x2x7」と答えてくれました。

感覚では1が素数でないことを理解してはいるようです。

さて素数については以前も紹介しましたが「1とその数自身でしか割れない数」のことです。

素数ってなにがある?と聞くと1を答えてしまう人は思いのほかいます。

ではなぜ1は素数に含まれないのでしょうか。

それは1を素数に含んでしまうと困ったことが起きます。

1を素数だと考えて28を素因数分解してみましょう。

28=1x2x2x7

28=1x1x1x1x2x2x7

28=1x1x1x1x1x2x2x7

1はどんな数に掛けても影響を及ぼしません(元の数は変わりません)。1を素数に含めると素因数分解の書き方が無限に出てしまいます。

これは「素因数分解の一意性(数は一通りの素数の積で表せる。)」というルールに反します。

この素因数分解の一意性を守るためにも1は素数に含まない。ということになりました。

エラトステネスの篩を知っている人は、1が素数の場合の篩を考えてみると更に理解が深まるかもしれませんね。(素数が1しかない!という事件が起きます。)

数に隠れた魅力

学校の最寄り駅まで300円……そこから歩いて10分……帰りは買い物でいくら使う……21時までには帰りたい。明日は用事があるから6時には起きよう。

日常の中で数というのは無意識のうちにそばにあります。普段何気なく使っている数でも隠れた魅力があるものです。

例えば「6」。6は完全数でありながら、高度合成数でもあります。

完全数?高度合成数?と思った人もいると思います。なにやらかっこいい名前ですが難しいことはありません。

 

完全数とは「それ自身を除く約数の和がその数自身と等しい自然数」のことです。

6で考えてみます。6の約数は「1,2,3,6」自身を除くので1,2,3の和を求めます。

1+2+3=6

見事に6の約数(それ自身は除いてますが)の和は6になりましたね。

完全数は他に28や496などがあります。

 

次に高度合成数とは「それ未満のどの自然数よりも約数の個数が多い自然数」のことを指します。

また6について考えてみます。6未満の数のそれぞれの約数1は1つ、素数である2,3,5は当然2つ、4は3つ(1と2と4)です。そして6の約数は1,2,3,6の4個です。

6未満の5個の数のどの約数の数よりも大きいですね。

高度完全数は他に1,2,4,6,12,24,36などがあります。約数の個数の求め方をすでに習っている人は探してみても面白いかもしれませんね。

 

今回は「完全数」「高度合成数」を紹介しましたが他にも「カプレカ数」や「調和数」,「タクシー数」などなど素敵な数がたくさんあります。

 

フィボナッチ数列と黄金比

「フィボナッチ数列」「黄金比」という言葉を耳にしたことはありますか?

まず、フィボナッチ数列とは前の二つの数字の和を並べた数列(1,1,2,3,5,8……)のことです。フィボナッチという名前はイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチにちなんでつけられたものです。

次に、黄金比について説明します。黄金比とは近似値1:1.618(約5:8)の比のことで、最も美しい比だといわれています。

黄金比の特徴は「黄金比の長方形について。短い方の辺を基準として正方形を作り二つに分けた時、長方形の図形の辺の比がまた黄金比になる」ということです。とても不思議な比です。

さて「フィボナッチ数列」と「黄金比」一見なんの関係性もなさそうに見えます。

しかし、フィボナッチ数列の連続する項の比率を計算する(二つの数を選び、小さい方の数で大きい方の数を割る)と面白いことが起こります。

フィボナッチ数列(1,1,2,3,5,8,13,21,34,55……)

1/1=1

2/1=2

3/2=1.5

5/3=1.6666……

8/5=1.6

13/8=1.625

21/13=1.61538……

そろそろわかってきましたか?フィボナッチ数列の連続する項の比率は黄金比に近づきます。

一見関係なさそうに見えるものがこんなところで繋がっているところに意外性と面白さを感じませんか?

もう既に数列を習っているという人はフィボナッチ数列の一般式を求めてみるのもいいかもしれません。

素数は有限か?無限か?

私は素数が大好きです。

皆さんにも興味を持ってもらいたいと思ったので、今日は素数について紹介します。

素数とは「1とその数自身以外には約数がない正の整数。ただし1は除く」と定義されています。

例を挙げると「2,3,5,7,11……」などです。100までの数には25個の素数が含まれますが、1000までになると168個、10000までだと1229個と素数を見つけるのが難しくなっていきます。

さてここで「最大の素数は存在するのか?」という疑問がわいてきます。今回はこの疑問を解消していきます。

【証明】

最大の素数が存在する。つまり素数は有限である。と仮定します。最大の素数をNと置きます。

最小の素数(2)から最大の素数までの全ての素数の積をMとします。(M>Nとなりますね)

ここでMに1を加えます。

するとM+1は素数(どんな素数で割っても必ず1余るので割り切れません)です。

これはNが最大の素数であることと矛盾します。

ゆえに素数は有限でない。つまり素数は無限にあるということが示されました。

 

高校の授業では習わない雑学のようなものですが数学に興味を持っていただけたら幸いです。

 

 

志望校に目標を定めた勉強を

今日が終業式で、いよいよ夏休みという人も多いのではないでしょうか。受験生にとっては勝負の夏の始まりですね。

夏は時間に余裕があり、自分のやりたい勉強ができますが、だからといって全部やろうとすると時間が足りません。今までは色々な科目を平均的に勉強することも大切でしたが、受験を半年後に控えた受験生にとっては受験科目を極めるつもりで絞った勉強をすることが重要になってきます。

たとえば、「自分はこの夏は地理をマスターするんだ」など具体的な目標をひとつ決めてみましょう。

豪雨ニモ屈サズ

昨日ようやく定期考査が終わり、今日から通常授業に戻るはずでしたが、昨日の台風騒動で一日延期されたそうです。

さらに今日も記録的な大雨。しかしオンラインの授業なら雨に濡れる心配もなくて快適な授業ができます。

一方、テスト疲れか別の理由か授業中でもかなりの頻度で睡魔に襲われている様子……。それでも眠気を吹き飛ばせるようにテンポよく授業をすすめたので、計画通りの進度が保てました。雨にも睡魔にも屈さない九大パルです。