国語
新傾向
現代文の文章の文字数が,全体的には450字程度増えている。
(大問一で約700字増,大問三は約220字減)
大問二の古典(漢文)で朗読をどのようにするかを問われた。
新傾向ではないが,大問三の小説文は2年連続出題。千利休を主人公とした内容で昨年よりやや読みづらい。
大問四の課題作文ではプレゼンテーションを行うという新しい設定となった。
出題単元
一 論説文
二 古典(漢文)
三 小説文
四 課題作文
出題数( )内は昨年度
総出題数:21+作文1 (21+作文1)
選択問題数:7(6)
記述問題数:10(8)
論述問題数:5(12)
総評
今年度の国語の問題は文章量が増えたことと,「まとめて書け。」という論述問題の文字数が増え,「四十五字以内」が二問,三十五字以内が三問,三十字以内が一問出ており,時間的に余裕がない生徒がいたかもしれません。論述問題では,答えを導くようなカギとなる語の指定は一問しかなく,文章中の言葉を引用して解答するのはもちろん,内容を十分に理解し解釈した上で,的確に表現する力までが問われました。また,例年は出題されたことのない,段落構成の説明問題が出ました。選択肢のなかの説明をよく読み,内容として消去できるところを指摘していけば正解にはたどりつけますが,論理の展開を正確に確認していかなければならず,すばやく判断するのは難しかったと思われます。古典の内容は読み取りやすいものでした。二人の子どもの主張の違いを整理した問いも,比較対象の表現を参考にするもので難易度は高くありません。今まで見たこともない出題として,古典の朗読の仕方を,古典の展開や内容を踏まえて書く問題が出ました。なぜそのように読むのか理由も含めて三十五字以内にまとめるには表現力が必要でした。二年連続で出題された小説文はよく読めば理解でき,難易度は高くはありませんでした。小説のなかの論述問題は問いに対する正確な表現を必要とされました。その他,漢字や品詞の識別,行書体の総画数などは例年どおり解きやすい問題となりました。課題作文では,プレゼンテーションをするという設定で,動画や写真,スライドなどの映像資料を活用することのよさや,どのタイミングで映像資料を使うかを考えて作文するものでした。これからの社会で大いに起こりうるプレゼンテーションが題材になったのは新しい傾向として興味深いものです。過去問題や類題に取り組み,考えをまとめながら書く練習をしておけばきちんと取り組めたはずです。
来年度の受験生へ
漢字や文法,ことばの知識は日々蓄積していきましょう。ことばの力がなければ,文章の内容理解,思考,表現などできません。ことばの意味や使い方がわからないときはそのままにせず,辞書や参考書で確認する習慣をつけるべきです。読解問題は総じて,正確な内容把握と的確な表現力が必要でしたので,次年度の受験生には,日ごろから文章をよく読み,要約する練習をしておいてほしいものです。授業で学習した文章は,感動した内容だけでもかまわないので音読してみましょう。内容が感覚にしみこんでくるはずですし,繰り返し練習すれば速く読む力にもつながっていきます。また,世の中の出来事に興味と関心を持ち,自分の意見をまとめる練習は不可欠です。意見をまとめたら,その表現が適切かどうか,先生に確認するとよいでしょう。
数学
新傾向
大問2の出題形式が大きく変更された。
出題単元
1 小問集合
2 連立方程式の利用
3 文字式の証明
4 関数(ダイヤグラム)
5 平面図形(円と相似)
6 空間図形(正六角柱)
出題数( )内は昨年度
総出題数:21(20)
選択問題数:2(1)
記述問題数:16(16)
論述問題数:3(3)
総評
今年度の数学の問題は昨年度の問題と比較すると,難易度はほぼ同程度でした。総出題数もほぼ同じですが,計算量が増えたため時間の使い方がポイントになったのではないかと思います。第1問は昨年と変わらず「資料の整理」の単元からの出題がありました。第2問の「連立方程式の利用」は8年ぶりにxとyが指定され,式が穴埋め形式で出題されました。個数と金額で立式する問題でしたので,例年よりも取り組みやすい問題でした。第3問は昨年度出題傾向が大きく変わり,多くの受験生が戸惑った問題でしたが,今年度も昨年度と同様の出題傾向でした。昨年の過去問題をしっかり対策していれば解ける問題ですが,(1)はア~オの選択肢の中から選ぶ形式に変わりました。また,計算した式の変形の仕方も問われましたので,教科書を読み込んでいない受験生は戸惑ったかもしれません。そして第4問は例年通り1次関数のダイヤグラムの問題でした。(2)は例年と異なり,直線の式を求めるのではなく,時刻を求める問題に変更されました。そのため,機械的に答えが出せなくなり,グラフから内容を読み取る必要がありましたので,ダイヤグラムが苦手な受験生は戸惑ったともいます。第5問は円と相似の問題でした。(1),(2)ともに昨年度よりは取り組みやすい問題でした。角度に注意しながら図形の形をとらえれば解けたのではないでしょうか。第6問は正六角柱についての問題でした。「ねじれの位置」は選択問題でした。ここは落としたくないところです。(2),(3)については昨年度並みの難易度でした。
今年度は昨年度と比べて大きな変化はありませんでしたが,問われる内容が若干変更されています。本質を理解していればその場で十分対応できる程度の変更です。
来年度の受験生へ
数学は毎年出題内容がある程度決まっているので,過去問題をしっかり解いて対策をしましょう。また,教科書で問われていることを確認するような出題傾向になっていますので,苦手な分野は中3の夏までに教科書の例題や練習問題を取り組むようにしましょう。教科書の完全理解が合格への最短距離です。
社会
新傾向
地理の資料が例年よりも充実したが,大きな変更はなかった。
出題単元
1 歴史
2 歴史
3 世界地理
4 日本地理
5 公民
6 資料問題
出題数( )内は昨年度
総出題数:34(31)
選択問題数:17(14)
記述問題数:5(7)
論述問題数:12(10)
総評
今年度の社会の問題は昨年度の問題と比較すると,受験生にとって解きにくい問題でした。総出題数は増加し,特に資料からの読み取り問題が増えています。出題内容は,教科書に記載されているものばかりですが,資料を読み取り自分の言葉で説明することが難しかったのではないでしょうか。大問数は例年同様で6題でした。出題範囲についても例年同様で,第1問と第2問は歴史分野,第3問と第4問は地理分野,第5問と第6問は公民分野という構成でした。受験勉強をするときには,ある分野にだけ特化した学習ではなく,まんべんなく学習することをおすすめします。今年度は第1問と第2問の歴史分野が総合問題となっており,近世までの歴史・近現代の歴史という区分けがなかった点が昨年と違いました。地理は資料が充実しており,地図帳を活用した勉強をしているかどうかが得点の分かれ目だったと思います。時差の問題が出題されましたが基本的なものでした。公民分野の論述問題の内容は過去の問題とよく似た問題でした。また年々資料が増えていますので,きちんと問題を読み解く力が求められています。1問1答形式の出題はほとんどありませんので,その出来事を説明できる力が必要です。語句だけでなく内容に関しても理解していくことが重要となります。福岡県の公立高校入試問題は資料や図に関する問題が多いのも特徴ですので,教科書の資料や写真・ワークや塾用の対策教材等で,いろいろな問題に取り組んでおくことが対策として必要です。
来年度の受験生へ
まずは歴史分野,地理分野,公民分野,といった分野ごとに重要用語をまとめましょう。その用語を自分の言葉で説明できるようになれば,本番でも正解が書けるはずです。論述問題は書くことが大切です。書かない限り成長はありません。まずは自分なりで構いませんので考えて書いてください。分からないとすぐにあきらめてはいけません。全然書けないときは教科書をしっかり読んでください。受験直前まで教科書の内容を読み,教科書のすみにある図や注意書きにまで目を通しておきましょう。教科書を読むことが福岡県の公立高校入試で高得点を取るための最も確実な手法です。
理科
新傾向
今まで出ていなかった放射冷却に関する論述問題が出題された。
出題単元
1 生命を維持するはたらき
2 生物の成長とふえ方
3 物質の状態変化
4 化学変化と物質の質量
5 気象観測
6 天体
7 光と音
8 力と圧力
出題数( )内は昨年度
総出題数:32(30)
選択問題数:8(3)
記述問題数:13(16)
論述問題数:11(11)
総評
今年度の理科の問題は昨年度の問題と比較すると,論述問題が少し難化していました。総出題数は微増しました。出題内容は,教科書に記載されていることからの出題ばかりでしたので,教科書をすみずみまで読んでいればすべて答えられる問題でした。教科書の範囲外からの出題というものを意識する必要はありません。また,大問数は例年同様で8題でした。出題範囲についても例年同様で,第1問と第2問は生物分野,第3問と第4問は化学分野,第5問と第6問は地学分野,第7問と第8問は物理分野という構成でした。受験勉強をするときには,ある分野にだけ特化した学習ではなく,まんべんなく学習することをおすすめします。今年度の新傾向として,放射冷却に関する論述問題が出題されていました。「放射冷却」という用語は,教科書でも太字にはなっていない用語なので,しっかりと教科書の内容を把握していなければ解けなかった問題でした。教科書の太字になっている重要語句だけをまとめるのではなく,まんべんなく読み込んでおく必要があります。また,福岡県の公立高校入試問題はグラフや図を記入する問題が多いのも特徴ですので,ワークや塾用の対策教材等で,いろいろな問題に取り組んでおくことが重要です。
来年度の受験生へ
まずは生物分野,化学分野,地学分野,物理分野といった分野ごとに重要用語をまとめましょう。太字になっている用語だけではなく,1つ1つの用語について確認することが必要です。その用語を自分の言葉で説明できるようになれば,本番でも正解が書けるはずです。計算問題は難しいものに取り組むのではなく,基本的な問題を確実に正解できるようにしましょう。受験直前まで教科書の内容を読み,教科書のすみにある図や注意書きにまで目を通しておきましょう。教科書を読むことが福岡県の公立高校入試で高得点を取るための最も確実な手法です。
英語
新傾向
特になし
出題単元
リスニング
筆記
1 短い対話文
2 対話文読解
3 メール文の読解
4 英作文
出題数( )内は昨年度
総出題数:26(26)
選択問題数:11(9)
記述問題数:15(17)
総評
リスニング
問題1の表,グラフの問題では数字の聞き取りがポイントになりました。問題3はスピーチ形式のものから留守番電話のメッセージを聞き取るという形式に変わっています。様々なシチュエーションのリスニングを練習することも必要となります。英文を聞いて答える問題では,文法事項と聞き取りの両方が求められています。また,選択肢の英文も長くなってきています。素早く,正確に目を通す必要があるでしょう。
筆記
- 例年よりも会話の前後でのつながりが求められていましたが,落ち着いて読むことができれば問題ないと思われます。対話形式のため,依頼,申し出の表現などの定着が必須です。
- 少々長めの対話文読解の問題です。昨年に引き続き,記号選択の問題はなくなり,全て記述でした。問2の並び替え問題では近年,関係代名詞の省略を問う問題や,冠詞に絡めて多義語も狙われています。
問3は25年度と似通った,自動詞(goなど)と他動詞(visitなど)の使い分けが出題されました。abroad,there,hereなどの副詞の使い方,語法を知っておくことが必要です。
問4は昨年までの書き出しの指定から変わり,内容を把握した上で,英語で表現させるという少々厄介な出題でした。ここでの得点が上位での差になりそうです。全体的に記述が増え,この2は今後難度が上がるかもしれません。 - 26年度のeメールの読解と同じ形式でした。特に難しい問題は見られず,解答の箇所になる部分をしっかりと訳出すれば問題ありません。ただ,複数の資料や文章から情報を照らし合わせる力など,いろいろなタイプの文章に触れておくことが大切になります。
- 自分の学校のよい所を紹介する英作文です。書き出しの指定は例年通りでしたが,今年は昨年と異なり、最初と最後の文を語数に含めず30語以上書く必要がありました。また,書き出しがピリオドで終わっており,2文目以降の書き出しで戸惑う受験生もいたかと思われます。
来年度の受験生へ
来年度の入試から,リスニングが5分延長され配点も20点となります。長文問題同様,早い時期から多くの問題に触れ,耳を慣らしておくといいでしょう。同時に基本的な単語,熟語などの定着と読解力が求められています。特に,単語の書きはおろそかにはできず,普段の学習からの地道な努力が求められます。また,英語を聞き取り,英語で表現させる問題が増えており,英語での質問力や解答力が得点のカギになります。教科書に出てくる単語は1年生のものからもう一度声に出して書いて覚えなおしておくことが重要です。