こんにちは、筑紫修学館スタッフブログです。
今日もご覧いただきありがとうございます!
福岡県の公立高校合格発表間近ですね。これから数日かけて、入試問題の分析と次年度の受験生へのアドバイスを掲載していきます。
では国語を始めます。
今年度の問題構成は大問4問で昨年と同じです。
大問一 論説文
(小問数)10
(形式)
昨年度大問二に移行していた(2)漢字や語句の知識問題が大問一に戻り、形式的には一昨年と同じでした。(1)の文章読解の小問のうち、1問以外はすべて記述・論述問題です。
(分析)
(1)「時間をかけずに効率よく事を進める社会になってきた今、パソコン・スマホ・チャットなどを効率よく使うだけでなく、人と顔を合わせて接することで得られる確かな信頼にもとづく貴重な時間をとりもどしたい」という内容で、時間をかけずに効率化することと時間をかけて築きあげていくことの比較で話が展開されており読みやすいものでした。問一では「時は金なり」ということわざが登場、問二・問四は前後をよく読んで解答できますが、その他論述問題はやや難です。問三の論述問題は、使う語句は与えられているものの、文章中の対象となる箇所を二十字以上、二十五字以内にまとめる力がなければ、時間ばかりかかってしまい困惑することになったと思われます。問五は論述問題で、設問中に「示唆」とあり、意味が理解できていなければ解答に迷うような問題でした。
(2)はミヒャエル・エンデの「モモ」という作品の一部に関する知識問題です。問一は要注意。傍線部のまわりから答えを攻める方法では解答がぶれます。設問中の「具体的な例」をいかにほりさげて考えるか、「具体的な例=たとえば、~」をイメージできれば11行目以降に答えがあることに気づけました。
大問二 小説文
(小問数)6
(形式)
昨年度の知識問題が大問一に移行し、文章読解のみでした。記号選択問題はなく、すべて記述・論述問題です。
(分析)
仏像修復師の心の葛藤を描いた文章で、昨年の小説文よりは読み取りがやや難でした。問三のイの問題は、字数以内で端的にまとめる力が試されました。問四・問五はともに「二十五字以上、三十五字以内」の論述問題で時間を要すると思われます。
大問三 古典
(小問数)8
(形式)
中国の書物「荘子」の書き下し文とその現代語訳を比較しながら解く問題です。近年よくみられる、会話を通じて内容理解させる問題には記号選択問題があるものの、その他は記述・論述問題が占めています。
(分析)
現代語訳が提示される出題で、古典の解釈だけで戦うものではありませんから取り組みやすくはあるものの、問題をいかにスピーディに解くかがカギになりました。問四の返り点の問題でレ点と一・二点の両方を打つ、問五(2)で「後の千金」と本文の共通点を表現するといった問題は少々時間がかかったと思われます。
大問四 条件作文
(形式)
資料の提示、二段落構成、行数など例年どおりの形式です。今年度は言葉や言葉の使い方に関する資料を基に作文するもので、昨年よりは取り組みやすいものでした。第二段落は、第一段落を踏まえていること、自分の知識や経験と結びつけて書くことが条件です。自分がどういうことを知識として身につけ、どう実際に経験したかが伝わる表現にすることがポイントとなります。
【総評】
内容は決して難解ではありませんが、論述問題について、要点がまとまっている解答を制限時間内にいかに書けるかというのはやや難です。また、ことわざや言葉の言いかえ・文法などの知識問題は出題が定着していますので、思考力・判断力・表現力だけでなく、その土台となる知識を広く身につけていくことが要求されるものになっています。
ことばに緻密になり、それを表現力に生かしていくように練習していく必要があります。
【次年度の受験生のみなさんへアドバイス】
昨年度の分析の際にも紹介したとおり、思考力や表現力だけでなく、ことばの知識が試される問題が出題されるようになってきています。言葉の読みや意味がわからないときには辞書や学習アプリなど活用してすぐに解決できますから、それを習慣化することが大切です。
文法問題はいつでも対応できるように、初めて学習するときに理解して不明点を残さないようにしましょう。復習は必要ですが、文法の原則をきちんと身につけておくことがもっと必要です。「知っている」というレベルに早い段階で達し、基本をしっかり身につけて問題演習を進めてください。
文章を読むスピードは必要です。
しかし、スピードを上げることを意識して雑に読むことのないようにしましょう。
◆説明的文章=「要点(抽象)」と「細部(具体)」に分け、要点を押さえて読む練習をする
◆物語的文章=登場人物の「直接的発言」「間接的発言」「情景描写」に注意して心情を押さえる
早く読むためには読み方が整っていなければなりません。要点や心情などを押さえる学習をし、その後にその文章を音読することを日々積み重ねることで早く読めるようになっていきます。知識を身につける、読み方を身につける、書き方を身につけるという総合的な国語学習に努めてください。
次回は数学の分析をご紹介します!