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"doodling"が勉強に及ぼす効果って?

勉強中や授業中、会議中に無意識のうちに紙の端っこに絵や図形を描くこの「落書き」(doodling)は、実は私たちの脳にとって思いがけない効果があります。
今回はこの"doodling"が勉強に及ぼす効果をお伝えしていきます。

1. doodlingとは? そして、その効果は?

落書きとは言っても、なんでも書いて良いというわけではありません。
doodligとは「簡単な落書き」のことで、しっかりと絵を描くことではなく、本当に簡単に、ときにはただの線や図形を乱雑に書きなぐるという意味での「落書き」を表します。

「考える」ための落書き

落書きは勉強に集中していない、やる気がないことの表れだと否定的に捉えられてきました。
しかし、最新の研究では落書き(doodling)には認知機能を高める重要な役割があるということが明らかになってきています。

記憶力の向上

doodlingしながら授業を聞くことで、実際の記憶の定着率が向上することが研究で示されています。
心理学者のJackie Andradeの研究の行った研究は次のようなものでした。

  • 40人に 2 分半の退屈なボイスメッセージを聞くように指示
  • 40人のうち20人は、メッセージを聞いている間落書き(doodling)をさせた(図形を塗りつぶさせた)
  • 残りの20人は何もせずメッセージを聞くことに集中させた
  • メッセージを聞いたあとに、内容についての質問をした
  • ただし、メッセージの内容について質問することは事前には知らせていなかった

この内容についてのテストの結果は果たしてどうなったでしょうか?
なんと、情報を聞きながらdoodlingしていたグループは、doodlingしていなかったグループと比べて29%も多くの情報を正確に思い出すことができたのです。

集中力の維持

私たちの脳は、長時間の授業や自習などで簡単に「デフォルトモード」に入ると言われています。
デフォルトモードでは、心が現在の学習から離れて、空想や雑念に流れていきます。
doodlingは、このデフォルトモードへの移行を防ぎ、適度な認知的負荷を与えることで、学習への集中力を維持する手助けをしてくれます。

2. doodlingを活用した単語暗記法

単語を暗記する際、単に見て覚えるだけではなく、doodlingを取り入れることで、記憶の定着をより効果的に行うことができます。
例えば、次のような方法を試してみましょう。

・単語を紙にぐるぐると書く

単語やフレーズをただまっすぐ書き連ねるのではなく、紙の余白に円を描くようにして繰り返し書いてみましょう。
このとき、単語を違う大きさや字体で書いたり、線を自由に曲げたりしてみるのも効果的です。
こうすることで、単調になりがちな暗記作業が視覚的・動的な要素を持ち、記憶が強化されます。

・関連する絵やシンボルを描く

例えば、"apple"を覚える際に、単語の周りにリンゴの絵を描いたり、"sky"なら青空をイメージした落書きを加えたりすると、視覚的記憶が働き、頭に残りやすくなります。

・色を使う

単語や囲む線に色をつけることで、視覚的な刺激が増し、記憶の定着がさらに良くなります。
例えば、ポジティブな意味を持つ単語は暖色系で囲む、難しい単語は寒色系にするなど、自分なりのルールを決めるのも良いでしょう。

・音声やリズムを組み合わせる

ぐるぐる書きながら、同時にその単語を声に出して読むと、視覚・聴覚・運動感覚の3つを同時に刺激できます。
これにより、より多くの感覚を使って記憶が強化されます。

・単純に別の紙にぐちゃぐちゃに落書きをしながら覚える

片手で赤シートをずらしながら、もう片方の手では紙にペンでぐちゃぐちゃに落書きをするこれだけでも暗記力が上がると言われています。

3. なぜこの方法が効果的なのか?

このプロセスでは、単語を覚えるという行為に「手を動かす」という身体的活動と、「形を創り出す」という創造的活動が加わります。
この2つの活動が脳を刺激し、情報の保存と引き出しがスムーズに行えるようになります。
ただし、力を込めて意識して書くとそちらに集中力がいってしまいます。
利き手で軽いタッチで書くと効果的です。

4. まとめ

落書きは、単なる時間つぶしや気の散らし方ではありません。
適切に活用することで、学習効率の向上や記憶力の促進に役立つ、効果的な学習ツールとなり得るのです。
ただし、重要な注意点として、落書きは学習の邪魔にならない程度に控えめに行うことが重要です。
また、テストの解答用紙や提出レポートへの落書きは当然避けるべきでしょう。
学習を深め、記憶力を向上させ、創造性を刺激する落書きには、私たちの想像以上の可能性が秘められているのです。

  • 長時間の講義で集中力が途切れそうな時
  • 難しい概念を理解しようとしている時
  • 暗記に行き詰まりを感じている時
  • 試験勉強でストレスを感じている時

上手に落書きを取り入れて、より効果的な学習を目指してみませんか?