白木原校では、次の日曜日に第5回合格の回を行うことにしています。今回は共通テストの対策を行う予定ですが、これまでは私大入試の対策を行ってきていて、様々な大学の入試問題を見てきました。
そこで今回は読書の秋ということも兼ねて、以前の回で取り上げた英語長文について面白かったものを簡単に説明しようと思います。日本語なので安心してください。
「個性にあった学習スタイル?」
今回紹介するのは2020年の立命館の問題で、そこでは、VARKに代表されるような学習スタイルついての文章が出されました。
VARKとは、人々の学習スタイルを視覚的、聴覚的、読書的、体験的の4つに分類し、それに合わせた学び方を提唱する考え方です。Visual,Aural,Reading,Kinestheticの頭文字をとってVARKと呼ばれます。
このアイデアは個性を尊重し、学習を促進する可能性があるとされ、1990年代に広まりました。ちょうど日本でも「個性」という言葉が(意味はともかくとして)目立つようになってきた時期でしょうか。
この文章によると、現在でも広く信じられている説であるとのことです。
「視覚型」や「聴覚型」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
しかし、実際の根拠は乏しく、その考え方の危険性を指摘する声もあるようです。
ちなみにこの英文で私がハイライトしたのは、「個人に応じて適した学習方法があるのではなくて、高めたいスキルに応じて適した学習方法があるのかもしれないよ」という点です。
過去問を手に入れるのが難しい人でも、同じような記事はネット上でもすぐに見つかるので興味がある人はぜひ読んでみてください。英語長文のトレーニングとは別にしても、面白い内容だと思います。
流行に乗った考え方は、鵜呑みにされやすく、注意が必要ですね。自分の信念に合致しているわけですから疑う気が起こりにくいということでしょう。
物事が広く信じられる背景には、単に正しいとされるからだけでなく、他の要因も影響していることを心に留めておくべきです。このことは、特に大学で学ぶ人にとっては、とても大事なことだということで問題に選ばれたのかもしれません。
塾としては流行に従わざるを得ないという状況もありますが、慎重な面もしっかり持っておくべきだと感じました。学習に関する情報は、その検証の難しさもあって需給ギャップが大きい分野でもあります。そんな土壌が、様々な「仮説」を生み出しやすくしていることは肝に銘じておかなくてはなりません。
ちなみにこの文章の締めくくりは、「複数の情報を手に入れた方が最良の可能性が高くなる」というアドバイスでした。正しさを求めるとこういう退屈な結論になってしまうわけですが、それが複雑な現実から学び取れる数少ない「正しい知見」ということでしょう。
この他にも、大学入試の英語長文には、興味深い内容が含まれていることが多々あります。受験生以外の方々も、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。「複数の情報を手に入れた方が最良の可能性が高くなる」とのことですし。
受験生は、入試が終わってからでいいので、じっくり読んでみるのもいいのではないでしょうか。時間内に設問を解くことに集中しているときとは違った収穫があるかもしれません。
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